懐かしい音楽を聴いてみる

 

 今はこんなご時世だし、最近の音楽にはあまり興味が湧かないので、昔聴いていた音楽や、その頃別のジャンルにはまっていて、聴き逃していた音楽を掘っている。

 最近は便利なものでSpotifyなる配信サービスがあるので、当時レコードで聴いたり、貸レコで録音して聴いていた音楽をCDで買い直さなくて済むのはありがたい。

 良い思い出も、苦い思い出も、聴いていた当時のことがありありと思い出されて懐かしい。

 そして、アルバム一枚を通して聴いてみると、当時と今とでは、心に響く曲が全く違っていたりして驚く。

 例えば、荒井由実の「14番目の月」は名曲揃いで、今でも全く違和感なく聴ける。リアルタイムではなかったが、こっそり聴いていた高校時代の思い出が甦る。

 こっそりだったのは、当時の私は自他共に認めるメタル小僧で、オジーかっけぇーとか、本当の良さも分からぬままツェッペリンサイコーなどと嘯いていたからであり、クイーンさえ軟弱だとダメ出ししていた私は、ユーミンを聴いているなどとは死んでも知られてはならなかったからである。

 話をユーミンに戻すと、そのアルバムの中のAB各面の最後を締めくくる「晩夏」と「何もなかったように」という楽曲に、全く聞き覚えが無かった。

 そして、その何れもがとても良いというか、むしろその2曲こそユーミンの真骨頂である郷愁溢れる名曲で、それに気付かなかったのは不覚だった。まだ若かった私は、派手な分かりやすい曲に心を奪われ、その2曲が全く耳に入ってこなかったのだろう。

 今では、当時全く良さが分からなかった「紅雀」とともに、新鮮な気持ちで、堂々と聴いている。

 ユーミンのヒット曲は数多くあるが、どれもあまり良いとは思えない。むしろ売れていないところに名曲が多いと思ってしまうのは私だけだろうか。

 そんなユーミンを聴けたのも「DaDiDa」までだった。その後は、全く良いと思わなくなってしまった。本人が、自分は才能の奴隷だと語っていたが、その才能も尽きてしまったのだろうか。

 もちろんサバスやオジーのソロも聴いてみたが、初期のサバスがブルーズ的だったのは意外な再発見だった。そして、ランディーローズが生きていた頃のソロの1st、2ndは今聴いてもシビレる。あのセンスの欠片もないジャケットとのギャップも笑える。

 その後、ロックに興味が無くなっていた私は、レディオヘッドやフーファイターズを丸ごと聴き逃していたことに気づいて、今さらながらに聴いている。

 初期のボブディランやニールヤングも、今聴いてもやっぱりいい。ライ・クーダーやトム・ウェイツもやっぱり初期が良かったり、2nd名盤率が高いのは偶然だろうか。

 単なる自分の好みだろうけど。