テレビの仕組み

 

 テレビを視るのは、決して無料ではない。

 

 無料でないどころか、高過ぎる対価を支払っている。

 

 いわゆる民放の財政は、スポンサー企業が支払う巨額な広告料収入によって賄われている。

 

 スポンサー企業は、自社の商品を、消費者にできるだけ多く買ってもらうために、湯水の如く広告料を費やす。

 

 スポンサー企業が支払う広告料は、より消費者の購買意欲を掻き立てるCMを制作するために広告代理店に支払われ、また、そのCMを放送する民放に対して支払われる。

 

 民放に対して支払われる広告料の金額は、その番組の視聴率とCMの時間によって決まる。

 

 民放は、より多くの広告料収入を得るために、高い視聴率を得られそうな番組を制作し、或いは、より高い視聴率を得られそうな番組を制作会社から買い、それを放送する。

 

 番組を制作する民放や制作会社は、高い視聴率を出すことができる出演者に対して高額の出演料を支払う。

 そして、その高額な出演料は、広告料に転嫁される。

 

 スポンサー企業は、より多くの利益を得るために湯水の如く広告料を費やし、それを商品やサービスに転嫁し、最終的に消費者に支払わせる。

 

 民放は、より多くの利益を得るために、消費者が見たがるような番組やCMを放送し、消費者をテレビの前に釘付けにしようとする。

 

 消費者は、然したる必要性も無く、ただテレビの前に座わりながら、知らず知らずのうちに大切な時間を失ってゆく。

 

 消費者は、知らず知らずのうちに物欲を刺激され、然したる必要性も無い商品を、その広告料がたんまりと含まれた値段で消費する。

 

 そのような仕組みになっているのである。

 

 純粋に消費者のために放送することができるのは、そうなっているかどうかは別にしてNHKだけである。視聴者からの受信料によって運営されているNHKだけは、視聴者のための番組を放送することを、義務付けられているからである。

 

 もちろん民放も、本当に消費者のためになる番組を放送し、消費者にとって有益な情報を提供している。

 

 しかしそれも、根本的には、自社の利益のためであることに変わりはない。

 そもそも営利企業は、それを第一の目的としているのである。

 

 テレビを視聴することは、決して悪いことばかりではない。

 

 ただ、そのような仕組みであることを知った上で、それが本当に自分のためになるかどうかを考えて、視聴するかどうかを決める必要がある。

 

 殆どの消費者にとって最大の情報源であるテレビが、そのようなことを教えてくれるはずがないのだから。

 

 民放は、「テレビの視すぎに注意しましょう」などとは、自社の株主やスポンサーの手前、絶対に言えないのだから。