非常事態宣言

 

 あまり、こういう独り言ばかりしたくないが、自分に嘘はつけまい。感じとってしまうものは仕方がないと諦めつつ、書くことにする。

 

 政府が非常事態宣言を出すのは、「経済や社会への影響も考慮して決める」らしい。

 

 人命を守る最前線で、それこそ命がけで従事されている医療機関のトップが、あれほどの危機感を示したにも関わらず、である。

 

 もし、その宣言が、国民の命や生活を守ることを最大の目的として出されるのであれば、決してそのような判断にはなるまい。

 

 経済や社会への影響は避けられないが、人命が第一なのだと国民に説明でき、まだ政府の発言に公信力があれば、例えそれが無駄に終わったとしても誰も文句は言えないと思うのだが、残念ながら、その何れでもないのがこの国の現状なのだろう。

 

 おそらく今日にでも、周囲にせっつかれて渋々と出されるであろうその宣言も、何のための、誰のための宣言になるのだろうか。

 

 人命よりも優先すべきものが、いったいどこにあるのだろうか。

 人命が最優先であると、どの法律にも、どの組織の目的にも、どの企業の定款にも書かれていないのは、そのような決め事の遥か手前にある、根源的な、人間として、決めるまでもない、当然のことだからである。

 

 しかし、次々と発表される(しかし一向に実現しない)経済対策に対して、人命を守るための対策は一家にガーゼマスク2コだった。

 

 重責を担う力もなく、重責を重責として認識することができない 、国民の置かれている状況を想像することすらできない人達がこの国を動かしているのだとしたら、そうなるのは仕方がないかもしれない。

 そうあってほしくはないと、まだ心のどこかで思っている。

 

 せめて、「経済や社会への影響も」の前に、「国民の生命や生活を守るために」という行があってほしいと、願わずにはいられない。